プロジェクトマネジメント(PM)は、会社の目標お客さまへの価値を、限られた資源で実現するための“進め方”です。やること自体はシンプルですが、関わる人や制約が重なるため奥深く、難易度は高い
ここを押さえないと、同じツール・同じメンバーでも結果がぶれます。


1) なぜPMが必要か QCDのため

PMの第一の役目はQCD(Quality/Cost/Delivery)を守ることです。

  • Quality(品質):受入基準と“やらないこと”を先に決め、ぶれない物差しで評価。
  • Cost(費用):見積の前提(対象/除外/回数/件数)を明確化し、変更時は影響(費用・工数)を可視化。
  • Delivery(納期):意思決定の締切とマイルストーンを設計し、遅延の芽を早期につぶす

QCDのすべてを両立させるのは非常に難しいのが現実です。
だからPMは、優先順位とトレードオフを見える化→合意→記録し、ベースラインからの逸脱は変更管理で正面から扱います(“少しだけ・・・”の積み重ねを放置しない)。


2) 会社の目標・顧客価値への“橋渡し”

IT導入は機能一覧ではなく、「何を良くするか」から始めます。
そのプロジェクトが完了したとき、システムを納品したらユーザはどんなリアクションをしていれば成功と言えるかを常に意識します。

  • 例:平均応答を1日→半日へ、誤請求を月10件→2件へ、出荷リードタイムを3日→2日へ。
    PMはこのKPIを仕様・段取り・受入観点に落とし込み、顧客体験の改善とつなげます。成果(アウトカム)に責任を持つのがPMの仕事です。

3) PMの役割ーシンプルだが奥深い

土台は決める・伝える・守る。ただし現場では関係者同士の利害や制約が絡み合い、奥深くなります。

  1. 決める:目的を一行で言えるようにし、必須/あとでの線引き、プロジェクトの成功基準(KPI/受入)を設定します。いわゆるスタンスを取ることは配下メンバから求められる態度の一つです。
  2. 伝える:目的・決めごと・実施すべきこと・リスクや課題などを共有しプロジェクト内の共通認識をそろえることが非常に重要なPMの役割です。特に専門用語や社内用語をかみ砕き、社内とベンダの理解をそろえることも重要な役目といえるでしょう
  3. 守る:当初定めたスケジュールやスコープは容易に変更するのではなく、影響評価をしたうえで変更し、変更された内容はプロジェクト内にすぐに共有することが求められます。

言うは易く行うは難し、という言葉がぴったり当てはまる役割がPMです。


4) PM/PMOに求められる姿勢 ー主体性と「ラストマンシップ」

プロジェクトは自然に収束しません。最後まで“決め切る人”が必要です。
ここで求められるのは主体性と、いわゆる「ラストマンシップ」(最後の砦の覚悟)です。

  • 自身が起点になる:目的や基準が曖昧なら、自分が素案を出し合意を作る。
  • Noと言う:QCDの線を越える要求には、代替案とセットで“止める勇気”。
  • 言いにくいことを早く言う:不都合なリスク・前提崩れは早期に見える化
  • 決め切る/締め切る:議論を着地させ、合意→記録→配布までやり切る。
  • 最後の一歩を走る:テスト観点の穴埋め、データ移行の実査、運用受入の段取り――“誰かがやるべき最後の作業”を拾う。
  • 価値に責任を持つ:成果物だけでなく、使われて効果が出るところまでをスコープに含める。

まとめ ― 専門知識×ラストマンシップが成果を生む

PMの本質は「決める・伝える・守る」。QCDは互いに引っ張り合い、両立は非常に難しいからこそ、トレードオフを見える化→合意→記録し、ベースラインからの逸脱は変更管理で正面から扱う必要があります。成果物ではなく“使われて効果が出ること”までをスコープに含め、KPIで会社の目標と顧客価値を橋渡しすることがPM/PMOの責務です。
そして専門知識だけでは足りません。現場で判断し、言いにくいことを早く伝え、必要なら“No”と言い、議論を着地させ、最後の一歩(受入・移行・運用段取り)までやり切る――この「ラストマンシップ」を備えた人が結果を変えます。
要するに、専門性+やり切る覚悟を持つPM/PMOを配置することが重要です。
QCDを守りながら会社の目標と顧客価値を確実につなぐ最短経路を構築します。